「あ、おれ…何すりゃいいわけ?」

 

いざ味見される覚悟はしたものの、どうすれば良いのか分からなくて、ユーリは所在なげに身動いだ。

 

「ユーリは、にんじんに何かしてもらいますか?」

「何も…」

「それと同じですから。じっとして」

 

腕を取られ、ユーリはびくりと身構える。宥めるように、コンラッドはユーリの柔らかな内腕を甘く食んだ。

 

「んっ……」

 

ほとんど付かない歯形をそれでも癒すように、コンラッドの舌がなぞる。

もどかしいような くすぐったさを感じて、ユーリは軽く身を竦めた。

緊張をほぐすように、コンラッドはユーリの体へ浅いキスを繰り返した。首筋に、鎖骨に、胸先に、腹に。

それから、

 

「…あっ」

 

ズボンを取られて露になった内股に。

 

「そこ、は、…くすぐった……ッ」

 

内太腿を舐め上げられて、ユーリは少し身を引いた。大事な部分がライオンの前に暴かれて、不安になる。

コンラッドは小さく震えているユーリのものを、優しく舌でなぞった。

 

「あっ…!? な、なにッ、を、」

 

怯えて逃げようとするユーリの両太腿を腕を回して固定する。逃げ場を失った腰を、コンラッドは強く引き寄せた。まだ完全ではないが、ユーリは軽く勃ち上がっている。

 

「不安に感じることはないから。味見だけ、だから」

「んっ……、…あ……ァっ!?」

 

コンラッドの唇に包まれて、ユーリは慌てて身を捩ろうとした。だが、捕らえられた獲物は逃げられない。

 

「いあぁ、…はっ、ひぁッ」

 

コンラッドの口内で、遊ぶように愛される。

知らない感覚に全身を犯され、ユーリは悲鳴を上げて暴れた。

 

「こんら、ぁ、これ…や、あァ…」

 

コンラッドにとっては緩やかに加減した動きでも、ユーリにとっては優しさも何もあったものではなかった。ただ追い詰められる。

舌で括れを撫でられ、頬の内側で扱かれて、何がなんだか判らなくなるほどに熱い。

 

「…ユーリ」

「ふっぁ、ア…そこで、しゃべんな……っ」

「ユーリも、俺を味見してみますか」

「ッ!? ひっ……」

 

ユーリの後ろの、何も知らない口に、コンラッドは指を含ませた。

 

「あ、味見って、そんな…あ、アッ」

 

侵入したライオンの指は、うさぎの急所を熟知していた。くるくると回すように体内のそこを責められて、内側に次々と新たな熱が押し寄せる。

 

「ユーリも、俺の味を覚えて」

「んんっ、う…ぁ、いぅ……う」

 

その間にも、前への刺激は休みなく続けられる。漏れ出す声を聞かれたくなくて、ユーリは両手で自らの口を押さえたが、すぐに耐え切れずシーツに縋った。

この、体の奥へ埋められた感触がコンラッドなんだ、とユーリは飛びそうな意識の淵で思った。そして、促されるまま体から溢れてしまうこの熱が、コンラッドに知られるユーリだ。

 

「ふぁ…あ、あぅ、ア……ッ…、!!」

 

儚い悲鳴を上げて、ユーリは果てを迎えた。ユーリの全ては、コンラッドの前へと晒された。

 

絶頂の余韻に慣れられず、ユーリは全身を放棄するように力を抜いてシーツに横たわった。

ぐったりと無防備になったユーリを、それでもコンラッドは襲いはしなかった。味見の後は約束通りユーリを解放し、ユーリの動悸が落ち着くまで頭を撫でた。それから湯で軽く絞ったタオルでユーリの全身を綺麗にし、毛づくろいをしてやる。

 

「なぁ、おれ…おいしかったの? …やっぱりマズいとか思った?」

 

ともすれば不安にも見える瞳で、ユーリはコンラッドを見上げる。

 

「最後まで食べてしまいたいのを、必死でこらえましたよ」

 

ふぅん、とユーリはコンラッドから目を逸らして紅くなった。嬉しいような恥ずかしいような、でもちょっと居心地が悪いような。

そういえばまだ丸裸のままだった、と気付いて、ユーリは剥がれた服に手を伸ばした。が、コンラッドに遮られてしまう。

 

「服を着るなら、俺の手でさせて」

 

いつもの爽やか笑顔よりも型にはまらない微笑を浮かべて、コンラッドは更に続ける。

 

「でもどうせなら、もう少しそのままでいてほしいけど」

 

(あーもう、コンラッドってばすっかり上機嫌じゃん)

だけど、大好きなライオンが嬉しそうに尾を振っていれば、ユーリとしても悪い気分ではない。行為自体は、少し恐かったけれど。

 

「なぁ、味見だけであんなになっちゃうなら…おれ、食べられたらどうなっちゃうの?」

 

コンラッドはユーリを抱き寄せ、頬にキスを落として言った。

 

「それはねユーリ、俺のことをもっと好きになるんですよ」